ドイツで救急外来にかかるには〜大きな病気や突然の怪我の場合 

前回「ドイツで病気や怪我したらどうしよう?」というテーマを取り上げました。ただ、慣れない外国で急に重い病気にかかったり、医者の予約が取れずに病気が悪化してしまったりということがあると思います。そんな時救急外来のお世話になることもあると思うので、今回は救急外来について取り上げます。  

 

救急外来はどこ?

医者はArztですが大きな病院はKrankenhaus、Klinikと言います。基本的にはこれらの病院にはHausarzt(家庭医)やPraxis(婦人科などの開業医)からの紹介状をもらってから訪問しますが、緊急時には夜間や土日祝日などを問わず、病院救急外来にかかることが可能です。救急車(112)でなくてもタクシーや公共交通機関で訪れることもできます。なお訪問前に自分がかかりたい科がその病院にあるかは、事前に確認してみましょう。 

大きな病院は基本的には手術ができる環境なども準備されて医療スタッフのレベルも高いのですが、当たり外れがあります。緊急で受けた手術が失敗して後日再手術となった方や、救急外来の医者の診たてが間違っていて後日症状が悪化した方なども少なくありません。もし紹介状を持って訪問するなど多少余裕がある場合は、紹介状を書いてくれた医師にどこの病院がいいかということを聞いてみてもいいと思います。 

 ドイツの救急車は112、救急医は116もしくは117

救急外来を訪問する場合

ドイツで病気や怪我をしたらどうしよう?」でも書いた通り、健康保険が非常に重要です。きちんと保険に入っていなかった人や加入が疑われた人で病院から診療を断られたり、追い出されたりした人もいます。救急外来にかかる際は保険証を必ず持参しましょう。 

また、救急外来とはいえ待たされることも少なくありません。自分より重い症状の急患患者が多くて数時間待たされたり、最悪の場合ベッドがないから帰ってくれと追い返されたりしたケースもあります。健康保険証だけではなく、部屋着などゆったりとした服装やお水、本やスマートフォンの充電器など、長時間フライトに乗る際にお持ちになるようなものを準備された方がいいでしょう。季節や施設によっては、病院内が寒い場合もありますので防寒対策をしっかりされることをお勧めします。 

なおドイツの病院は比較的人の来訪が自由であるため、それをねらった泥棒なども少なくないようです。無駄に高額な現金は持ち歩かない(後日請求書払いが多いです)、持参する貴重品は最低限にするなどの注意も必要でしょう。 

 

救急外来を訪問したらドイツ語しか通じない!?

まずは受付を行いますが、保険証や医師からの紹介状に加え、「ドイツで病気や怪我をしたらどうしよう?」でもお勧めしている症状をドイツ語で書いたメモを受付の方に見せるとスムーズです。たとえ総合病院であっても、受付スタッフはドイツ語しかできないということは少なくありません。 

受付が完了したらその後採血を行うことが多いです。採血の方法は日本と同じですが、採血や点滴を行う看護師の方はドイツ語のみ解するということは少なくありません。私見ですが、年配の看護師の方はドイツ語のみという傾向が強いように思います。 

総合病院の医師は英語もできる方が多いですが、くどいですがこの症状をまとめたメモがある方が、間違いがなくて良いと思います。退院時にどのような手術や処置を行ったのかを記載した書類(ドイツ語)をもらえます。症状が悪化したり、かかりつけ医のフォローアップを受けたりする場合はこの書類を持参しましょう。なお、総合病院での誤診なども少なくないので病院での診察や手術後に疑問を感じたら、家庭医や開業医、別の総合病院にかかることも重要です。事情を話せば予約がなくても緊急対応をしてくれることもあります。 

 

救急外来のお世話になるということは、緊急事態であると思います。耳慣れない医療関係の専門用語だけではなく、パニックで外国語が頭に入ってこないということもあるのではないでしょうか。CC-Nipponではさまざまなお客様の医療通訳をお手伝いした経験があります。可能な限り、皆様のお役に立てればと思いますので、サポートが必要な際はいつでもご相談ください。