KSK-芸術家社会保障

今日のお題はKSKです。

KSKに加入する資格がある人は、とりあえず申請しておくことを強くお勧めします!

なぜなら永住権取得に有利、滞在許可更新に有利、家族がいる人は保険料も節約といいことだらけだからです。

まずKSKって何?ってところから始めましょう。

KSKとは

Künstlersozialkasse(クンストラ―ゾツィアルカッセ)というもので、芸術家社会保障です。

芸術家やジャーナリストとして働いている人は多くの場合リーランスとして働いていますね。そうすると、公的保険に入れるチャンスが少なく、また、被雇用者ならば保険料の一部を雇用主に負担してもらえますが、フリーランスの芸術家はその恩恵にもあずかれないわけです。

そこでKSKがいわばフリーランスの芸術家の雇用主のように、社会保障の一部を負担し、芸術家をサポートするというのが趣旨です。

KSKという公的保険があるわけではありません。個別に公的保険に申し込み、KSKから加入許可が出ると申し込んでいた公的保険にも加入できるという仕組みです。

さて、では誰がKSKに加入することができるのでしょうか?

KSK加入資格

KSK加入できる人は、ドイツ国内で活動している芸術家(音楽、画家、写真家、舞台芸術)やその分野の教師、またはフリーランスのジャーナリストなどです。

また、以下のような条件もあります。

1. 芸術家としての年収が3900ユーロ(月平均325ユーロ)以上

2. 芸術関係以外の収入があってもよいが、芸術関係での収入が大半を占めていること。

3. ドイツに住居していてもクライアントがドイツ国外のみの場合は不可

この3点が一番重要なポイントとなります。

一つ一つ見てみましょう。

1. 芸術家、ジャーナリストとしての年収が3900ユーロ(月平均325ユーロ)以上

芸術家としての収入が3900ユーロ以上としているのは、収入があまりにも少ない場合は、職業として芸術家をしているのではないとみなされてしまうということです。趣味で描いている絵が時々売れるといったものでは加入できません。

2. 芸術関係以外の収入があってもよいが、芸術関係での収入が大半を占めていること。

例えば、芸術活動をしていて月400ユーロの収入があるが、それだけじゃ生活できないので日本食レストランでバイトしている。そのバイト代が600ユーロ、というのはダメなんですね。あくまで芸術家メインの収入であることです。

翻訳家なんかも入れることがありますが、例えば文学作品や漫画の翻訳なんかはOKですが、工業系の翻訳が多かったら加入できません。

3. ドイツに住居していてもクライアントがドイツ国外のみの場合は不可

その場にいなくても仕事ができるデザイナーなど、よくリモートワークで日本から受注がありますが、それのみではKSKには加入できません。ドイツ国内にもクライアントが必要です。(というか、最近はドイツ国内のクライアントなしには滞在許可の申請や更新もできません)

クライアントは企業である必要はないので、ドイツに住んでいる日本人からの受注でもドイツからの受注扱いになります。もしくはドイツのエージェントを通して、ドイツ国外で働いているというのもアリです。

芸術家って誰のこと?

そりゃ、アート活動をしている人のことでしょ!と思うと思いますが、KSKが考える芸術家には基準があります。自分の活動はアート活動だ!と主張するだけではだめなのです。KSKの芸術家としての線引きは、芸術自体が多岐にわたるので一口には言えませんが、一例をあげると・・・

インテリアコーディネーター → もともとある雑貨などを組み合わせるだけならクリエイティブとは言えないから、芸術家としては認められない。

家具デザイナー → 一からデザインを考えるならクリエイティブとみなされ芸術家として認められます。家具を製作している場合は職人のカテゴリーに入る可能性が高い。

家具を作る → デザインから自分でする場合はよいが、他のデザイナーが考えたデザインを家具として作るのは職人であり芸術家ではない。

バレエダンサー →バレエはスポーツではなく芸術なので加入できる。

社交ダンス →芸術ではなくスポーツなので加入できない。

ハンドメイド作家 →芸術家ではなく、職人なので加入できない。

などなど。

KSK加入にはいろいろな制約があります。

自分がKSKに加入する資格があるかよくわからないという方は、一度オンライン面談にお申し込みください。状況を詳しくお聞きして、加入できる可能性があるかお話しいたします。

mail@cc-nippon.com